被写体の反射率の違いによる露出について、経験を積んだ上級者やベテランの方は、ほぼ適正な補正値を当てることができます。
例えば真っ白な雪原が大半の被写体ではプラス1段半とか、真っ黒な機関車で覆われる被写体ではマイナス1段半とかです。
しかし露出の正確な補正値は、被写体の色加減や光の条件により微妙に異なります。
写真は失敗したからといっても撮り直しがきかない場合も多々あります。
では適性露出を得るのに微妙な誤差が考えられる場合、どうしているのでしょうか。
答えは段階露出です。カメラのメーカーによってAEB、オートブラケティング、露出ブラケットなど段階露出の呼び方が異なりますが、その目的や機能は同じです。
撮り方は、撮影者がほぼ適正と考える露出補正値を中心にし、露出値をプラス側の補正、ゼロ補正、マイナス側の補正で、一般的に段階露出の幅は1/3段から1/2段くらい、段階数は3枚から5枚で、カメラを設定します。
その中の1枚に適性な露出の写真が入っているだろうという考え方です。
つまり段階露出で、少しづつ露出を変え、保険をかけて撮るのです。
結果として、3枚なり5枚撮っても適正でない露出の写真が2枚なり4枚出てくるわけですが、適性な露出の写真が1枚有れば成功ということです。
先日、風景写真家で有名なT先生に質問する機会を頂いたので、段階露出の質問をしたところ、「失敗が許されないプロだからこそ段階露出は必ずします。」とのコメントを頂戴しました。百戦練磨のプロ写真家でさえ、微妙な露出加減は難しいことなんですね。